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深谷の内科・消化器内科・眼科・内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)|吉田医院
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胃薬と胃のポリープとの関連

胃薬と胃のポリープとの関連

胃薬を飲んでいるのですが、胃のポリープと関連があるのですか?

「胃薬を長く飲んでいるのですが、胃にポリープがあると言われました。薬が原因なのでしょうか?」
――胃カメラの結果を説明する際、このような質問を受けることがあります。

胃酸を抑える薬の中でも、プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシアなどの治療だけでなく、アスピリンやNSAIDsによる消化管障害の予防にも広く使用されています。近年、その使用は世界的に増加しており、2023年に発表されたsystematic review1では、23か国・約2,800万人のPPI使用者が報告され、その約4人に1人が1年以上PPIを継続していました。

一方で、PPIを長期間使用している方に、胃底腺ポリープがみられることがあり、「PPIと胃ポリープには本当に関係があるのか?」については、これまでさまざまな研究が行われてきました。それらの多くの報告の中の22研究を解析した、systematic review2の結果を元に考えてみましょう。

報告では、単純に22研究のデータを集計するとPPI使用者で胃底腺ポリープが多くみられました。しかし、研究間のばらつき(heterogeneity)が非常に大きく、年齢、性別、内視鏡検査を受けた理由、研究デザイン、PPI使用期間、H. pylori感染などの違いが結果に影響している可能性がありました。そこで、年齢・性別によるマッチングやpropensity score matchingを行って交絡因子を調整すると、PPI使用者と非使用者の間で有意な差は認められませんでした。さらに、PPI使用期間やピロリ菌感染有無など、他の交絡因子を調整しても、有意な差はみられなかったのです。

しかし、私自身もPPI内服中に胃ポリープが増大した症例を経験しており、この結果から、PPIと胃ポリープが関係ないとは言い切れないと考えています。

この研究の強みは、研究間のheterogeneityを詳細に検討し、既知の交絡因子を調整する工夫を行った点で重要です。一方で、弱点もあります。解析の中心が観察研究であり、個々の患者を長期間追跡した研究ではありません。また、propensity score matchingも患者個人ではなく、既報研究の集計データをもとに研究同士をマッチングした解析です。そのため、PPIを使用している患者のうち、どのような方でポリープが増えたり、大きくなったりするのかまでは明らかになっていません。つまりは、個々の患者さんの経時的な変化を評価できていないのです。

実際、長期間PPIを使用した患者に10mmを超える大きな胃底腺ポリープが生じ、PPI中止後わずか1~2か月で著明に縮小した症例も報告されています3。加えて、私もPPIを他薬剤に変更し、胃ポリープが縮小した症例を複数例経験しております。

近年広く使用されているP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)についても、胃ポリープとの関連を示唆するデータが報告されています。ただし、P-CABと胃底腺ポリープとの因果関係については、まだ十分なエビデンスは確立されていません。

そのため、そのため、PPIやP-CABを服用しているからといって、一律に中止する必要はありません。胃カメラでポリープの数や大きさ、表面の変化などを丁寧に確認し、増大傾向がある場合には注意深く経過をみることが大切です。 当院では、こうした科学的な根拠(Evidence)を基本としながらも、実際の内視鏡所見や経過も重視し、必要に応じて薬剤の休薬3・変更4や、より作用の弱い段階的変更5など、患者さんごとに個別の対応を実践しております。Evidenceだけでなく、日々の診療から得られる経験(Experience)も大切にした診療を、今後も続けて参ります。

  1. Shanika LGTS, et al. Proton pump inhibitor use: systematic review of global trends and practices. Eur J Clin Pharmacol. 2023;79:1159–1172.
  2. Lam SK, Lau GKK. Proton pump inhibitors are not associated with fundic gland polyps – a systematic review that takes into consideration all known confounders. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2024;36:831–844.
  3. Inaba T, et al. Proton pump inhibitor-induced large gastric polyps can regress within 2 months after discontinuation: Experience from two cases. DEN Open. 2025;5:e70090.
  4. Ikeda R, et al. Proton Pump Inhibitor-Induced Fundic Gland Polyps With Massive Bleeding Regressed on Alternative Histamine 2 Receptor Antagonist Therapy. DEN Open. 2026;6:e70273.
  5. Kanamori K, et al. Size reduction of gastric fundic gland polyposis by de-escalation of acid-suppressive therapy. DEN Open. 2023;3:e135.