血圧について
血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。
心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力を「収縮期血圧(上の血圧)」、心臓が拡張して血液を取り込むときの圧力を「拡張期血圧(下の血圧)」と呼びます。
血圧は、心臓のポンプ機能と血管の状態によって決まり、体の隅々まで酸素や栄養を届けるために重要な役割を果たしています。血圧は一日の中でも変動し、運動や緊張、睡眠などによって上下します。
健康な血管を保つためには、適切な血圧管理が欠かせません。
高血圧の基準
当院では、日本高血圧学会の 「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」 に基づき、最新の科学的根拠に沿った診療を行っています。
このガイドラインでは、従来の基準に比べて 血圧の評価と管理目標が見直されました。
従来は診察室血圧で 140/90 mmHg以上 を高血圧とする基準が一般的でしたが、最新ガイドラインでは 診察室血圧で130/80 mmHg未満を基本の管理目標とし、より厳格な血圧管理が推奨されるようになりました。
これは、血圧が130 mmHg台でも心血管疾患のリスクが高まることが明らかになったためです。
さらに、米国で行われた大規模臨床試験※では、より厳格に血圧を管理した群で、心臓発作、脳卒中、心不全による入院が減少し、死亡率も低下するといった重要な成果が得られました。
※New England Journal of Medicine. 2015;373(22):2103–2116.
これらのデータを踏まえ、当院では、以下のような方針で高血圧診療を行っています。
診察室だけでなく家庭血圧を重視
ご自宅での血圧測定を日常管理の中心に据えています。
目標血圧は患者さんの背景に合わせて設定
基本は 診察室血圧で130/80 mmHg未満ですが、患者さんの状況よってはより120/80mmHg未満といった厳格な目標を目指すこともあります。
生活習慣とリスク全体の評価
運動、減塩、体重管理などの生活改善を基本に、必要に応じて薬物治療を行います。
「最近血圧が高めと言われた」「家庭血圧が気になる」という方も、お気軽にご相談ください。
ご自身の生活背景やリスクに合わせて、最適な管理計画を一緒に考えます。
高血圧の原因
高血圧の原因は、大きく分けて二つのタイプがあります。
本態性高血圧(一次性高血圧)
高血圧患者の約90%を占めるのが本態性高血圧です。
明確な原因が特定できないタイプで、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。
主な要因として以下が挙げられます。
- 遺伝的要因
両親や家族に高血圧の人がいると発症リスクが高まります - 食生活
塩分の過剰摂取、肥満、アルコールの飲み過ぎ - 生活習慣
運動不足、喫煙、ストレス、睡眠不足 - 加齢
年齢とともに血管の弾力性が低下し、血圧が上昇しやすくなります
二次性高血圧
特定の病気が原因で血圧が上昇するタイプで、高血圧患者の約10%を占めます。
原因となる病気には、腎臓病、ホルモン異常(原発性アルドステロン症、クッシング症候群など)、睡眠時無呼吸症候群、薬剤の副作用などがあります。
二次性高血圧の場合は、原因となる病気の治療が重要です。
高血圧の治療
高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法の二つの柱で行われます。
生活習慣の改善
まず第一に取り組むべきは生活習慣の見直しです。
以下のような改善が効果的です。
- 減塩
1日の塩分摂取量をまずは7g程度に抑えることが推奨されます - 適正体重の維持
肥満の解消は血圧低下に大きく貢献します - 適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動を週3回以上、1回30分程度行います - 節酒
アルコールは適量を守り、休肝日を設けましょう - 禁煙
喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させます - ストレス管理
十分な睡眠と休息を心がけます - カリウム摂取を増やす
カリウムイオンは、塩分の排泄を促し、血圧を下げる働きがあります。果物・野菜・豆類・海藻類・きのこ類などを積極的に摂りましょう。
※腎機能低下やカリウム補助剤使用中の方は過剰摂取に注意が必要です。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、重度の高血圧の場合は降圧薬を使用します。
主な降圧薬には、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、利尿薬などがあり、患者さんの状態に応じて適切な薬剤を選択します。
よくある質問
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高血圧は完治しますか?
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本態性高血圧の場合、完治は難しいですが、適切な治療と生活習慣の改善によって血圧をコントロールすることは可能です。
二次性高血圧の場合は、原因となる病気を治療することで血圧が正常化することがあります。
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薬はずっと飲み続けなければいけませんか?
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生活習慣の改善により血圧が安定すれば、医師の判断で薬を減量したり中止したりできる場合もあります。
ただし、過去の報告では約80%で薬の継続が必要であった※とされており、上記の減塩、減量、運動といった生活習慣の改善だけでは難しいのが現状です。
※Am J Hypertens. 2002 Aug;15(8):732-4. doi: 10.1016/s0895-7061(02)02942-4.
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血圧が下がってきたので、薬をやめても大丈夫ですか?
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血圧が下がったのは、薬が効いている結果であることがほとんどです。
薬をやめると、数日~数週間で血圧が再び上昇し、心臓や脳に問題を生じる可能性があります。日本人の観察研究では、薬の中断で脳出血リスクが3.8倍上昇したとの報告※もあり、医師の診察・検査に基づいて、適切な中断や調整を行うことが重要ですので、必ずご相談ください。
※J Am Heart Assoc. 2025 Aug 6;14(16):e042523. doi: 10.1161
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若くても高血圧になりますか?
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はい、若い方でも高血圧になることがあります。
特に肥満、運動不足、ストレス過多、塩分の多い食事などの生活習慣が影響します。若年性高血圧の場合、二次性高血圧の可能性もあるため、詳しい検査が必要です。
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自宅での血圧測定は必要ですか?
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はい、家庭での血圧測定は非常に重要です。
診察室で測定する血圧は緊張によって高めに出ることがあります。朝と夜の決まった時間に測定し、記録をつけることで、より正確な血圧管理が可能になります。
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高血圧で気をつけるべき症状はありますか?
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高血圧は通常、自覚症状がありませんが、頭痛、めまい、動悸、息切れ、胸の痛みなどの症状が現れた場合は、血圧が著しく上昇している可能性があります。このような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
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